金星
「優奈……」
朋宏が駐車場の入り口に来た。
細身のチノパンにポロシャツ、といつもの綺麗目の格好。
「ともひ……ろ」
こっちに向かってくる。
「優奈ごめん! 会いたかった」
「……っ」
あたしの後ろに加奈と潤一がいるのにもかかわらず、
急に朋宏は強く、あたしを抱きしめてきた。
その腕の力は強いけど、大切なものを抱きしめているような優しさを感じた。
「お願い、もうしないから、帰ってきて」
真剣な口調。
思わず、目の奥が熱くなる。