金星
「帰るぞ、お前にそんなこと言う権利ないんだよ」
「キャッ」
突然、朋宏は強い力で、あたしのロンTの胸元をねじるように掴んだ。
あたしは反射的に、ぎゅっと目を強く閉じた。
しかし、その瞬間、
あたしの胸元から、朋宏の手が離れた。
「はい、ストップ」
目をゆっくり開けると、
潤一が朋宏の腕をつかんでいた。
「は? 関係ない奴は黙ってろよ」
朋宏は静かにそう言って潤一の腕を振り払った。
「いやいや、女の子に手を上げるのはだめっすよ」
再び潤一が朋宏の腕を少しひねりながら押さえ込む。
すると、朋宏は潤一ではなく、あたしを睨みつけた。
「おい、優奈、やっぱりこいつとできてるんだろ?」