金星
怒りの矛先は、やっぱりあたし。
ねえ、何で、あたしのこと信じてくれないの?
「……」
「そうなのか? 優奈!」
再びあたしの目からは涙があふれ出し、
口から言葉が何も出てこなくなってしまった。
その時、
「やめてください! これ以上優奈傷つけたら警察呼びます!」
と、加奈が叫んだ。
加奈の必死の声は、その高さもあってよく響いた。
車が通る以外は、ほとんど音がしない住宅街。
暗かった家やマンションに、数件明かりがついた気がした。