金星
2人きりの夜 by jum
「す、すごいね! 潤一の家ってここだったんだ」
1階から28階に上がるエレベーターの中、優奈は興奮しっぱなしだった。
「エレベーター揺れるから、少しは黙ってろよ」
「は? あたしそんなに重くないし!」
さっきまで朋宏ってやつに脅えていた優奈ではなく、
普段の優奈に戻っていた。
顔のアザと口元の絆創膏以外は。
何かあったら連絡すると言って、
加奈には予定通り明日から親戚の家に行ってもらうことにした。
それにしても。
「ちょっと、潤一って本当はボンボンなんだね! そりゃー調子に乗るのは仕方ないね~」
こいつと2人っきりで家にいても、
女と一緒にいるって気が一切しない。