金星
「はい、適当に女物の着替えとか化粧水とかあるし、使っていいから」
居間のソファーに腰かけてる優奈に、
俺はいろいろ使えそうなものを渡した。
「え、いいの? ってもしかして、これ潤一のセフレのやつ?」
「ちげーよ、親父の女のやつだよ」
「……そ、そっか。ごめん」
優奈は小声になって、下を向いていた。
「はぁ、何で謝るんだよ。いいんだよ別に。あと腹は? 飯食った?」
「う、うん。大丈夫」
変にかしこまってしまった優奈のせいで、
テレビもついていない家の中は、何となく静かだった。