金星

「あのさぁ、酒飲むときくらい、しんみりした顔するなって。また肌荒れるぞ」


一本目の缶を飲み干しながら、俺は言った。


「え? そんな顔してた? ってか別に肌荒れてないしー」


「元彼と別れそうな時だっけ? 授業中お前の方からため息ばっかり聞こえてきて、マジ萎えたからな」


「うっそー! あたしそういうの顔とかに出さないようにしてるのに」


「は? 全然できてねーよ」


「マジで!? ショックなんだけど!」


少しずつ、普段の優奈モードに戻ってきた。

今日くらいは朋宏って奴のことを思い出させないでやろうと思った。


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