金星
「いいよ、あたしこのソファーで寝るよ~」


「親父時々急に帰ってくる時あるから、一応俺のベッドで寝ろよ。俺親父のベッドで寝るし」

「えー! 悪いよ。何から何まで」


「だーかーら、気ぃ遣うなって言っただろ? それとも一緒に寝る? ……いってぇ!」


無言で優奈は俺の腹にジャブを入れた。



「へぇ~、綺麗ってか、何もない部屋だねー」


カーテンもベッドもグレーで統一している俺の部屋。

家具もパソコン、テレビ、机と必要最低限のものしかない。


ベッドの上のシーツと薄い掛け布団を整える。


「はい、暑かったらエアコンとか調整していいから」


優奈にそう言って、部屋から出ようとしたが。


「待って」


優奈が俺のTシャツの裾を掴んで止めた。
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