金星
「ん? どうした」
「ごめん……もうちょっとだけいてもらっていいかな。一人になったら色々思い出しちゃうから」
その手と声は少し震えていた。
一瞬、俺の心臓の音が大きく鳴った気がした。
「いーよ、お前寝付くまでここにいるから、安心しろよ」
「……ごめんね。ありがと」
強いと見せかけて、
実はすぐにボロボロになってしまうような危うさを持っている。
親友――タケルからの頼みだから、こいつを助けているわけじゃなくて、
何か別の意識が俺を動かしているのかもと思った。
「ごめんね、あたし潤一のこと誤解してたかも」
優奈がベッドに横になっているすぐ傍で、
ちょうど優奈と同じ顔の高さになるように、俺は床に胡坐をかいた。
「ん? そうなん」