金星

「いーじゃん、遠出するの久々だし、たまにはお洒落したいんだもん」


実家に残ってた服で、

久々に夏っぽい格好にコーディネートしてみた。


ゆったりしたボーダーのトップスにデニムのショーパン。

ちょっとすねのあざが気になったからレギンスを履いてるけど。

あと、少しだけ髪の毛を巻いてみた。


「ふーん、前に浦和で会った時よりはマシだな」

「何それー、マシってどーゆーこと!?」

「あーはいはい、この前よりは可愛いですね、っと、行くぞ」


あたしの出発準備が終わって、

潤一にそう言われたことが、ちょっと嬉しかった。



潤一は半袖の白シャツにラフなカーキっぽいズボン、足元はビルケン。

取れかけのパーマの茶髪に、今日はダテの眼鏡をしている。


前も思ったけど、私服だとイケメン度が2割増になるなぁ。


「あのカップル素敵だね~」


電車の中で、そう話す声が聞こえてくると、

カップルじゃねーよ、と思いつつも、少し嬉しくなった。
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