金星

次は~宇都宮、宇都宮、という電車のアナウンスが聞こえてくる。


「あ、ここで乗り換えか」

「はーい。あ、帰り餃子食べてから帰りたーい」


「おーそれいいな」


乗り換えて、東北本線を更に北へ進む。

そこから、だいたい1時間くらい。


「ちょっと、それあたしのじゃがりこー」

「あん? 別にいーべ。うーん……俺やっぱサラダ味がいいわ」

「もう、人の食べておいて文句言わないでよ!」


潤一は時々腹立つけど、気を遣わなくていいから楽だ。

一緒にいると、本当のあたしのままでいられるような気がした。
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