金星
「せっかくお母さんのこと思い出したんでしょ?」


「……」


「お母さんに会って気持ち吹っ切らないと、潤一いつまでも人を好きになるのが怖いままになっちゃうよ!」


「……お前にそこまで詳しく話したっけ? 何で知ってるんだよ」


その時、助手席に乗ったその女性――潤一のお母さんが、

忘れ物をしたのか、家の方向へ引き返していった。


「潤一、今のうちだよ! あと、言っとくけど、あたしがgyabanだから!」


そう言うと、潤一はお母さんの方向を見た後、

凄い勢いで振り返り、あたしを見た。


「は!?」
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