金星
潤一がお母さんに会っているだろう間、
あたしはその家の周りの道を歩いてみた。
奥の公園では子どもたちが走り回っているのが見える。
『山本詩絵里』
潤一が持っていたメモには住所と、そう書かれた名前があった。
潤一とは全く違う名字。
10年以上ぶりの再会。
潤一はお母さんと何を話しているのだろう。
――ピッ。
久しぶりに携帯の電源をつけてみた。
『センター受信 着信:29件』
『メール:10件』
メールは1通だけ加奈からの返信。
あとはメール、着信ともに全部朋宏からだった。