金星
ガタン、ゴトン。
日が傾きかけている中、
電車は再び田んぼの中を進んでいく。
同じ車両にはお客さんが2、3組くらいしかいなかった。
「ねーねー、お母さんと何話したの?」
「あ? 言わねーよ」
「いーじゃーん、大好きだったお母さんとの再会だったんでしょ?」
「お前にはもう何も言わねーよ」
そう言って、潤一はぷいっとあたしと反対側の方を向いた。
ちょっと、照れてるみたい。
「……お前主婦なんじゃなかったの?」
ちらっと、潤一は横目であたしを睨む。
「えへへ~、ネットの世界と現実は違うんですー」