金星
「ちょっと何ー!?」
「ありがとう」
そう、ボソっと囁かれた瞬間、再び視界が明るくなった。
「へ?」
「……」
潤一を見ると、やっぱり、ぷいっとあたしの反対側を向いていた。
ワンテンポおいて、あたしの顔は自然とニヤけはじめる。
こいつ、可愛いとこあんじゃん。
そう思っていたら、潤一はあたしの方を見ないまま、
あたしの頭に片手を乗せてきた。
「おい、今笑ったべ?」
「んぐぐ、だって素直な潤一ってありえないし~!」
そう言った瞬間、あたしの髪の毛はくっしゃくしゃにされた。
潤一のその手には、色んな感情が込められている気がした。