金星

あの後、朋宏とやらの所に行かせなければ良かったと思いつつ、

なぜか親父の仕事の手伝い、というか雑用バイトをやらされていて、

あっという間に日が過ぎてしまっていた。


「潤一くんって言うんだ、社長に似て格好いいね~」


「……」


会社の倉庫にある山盛りのダンボールに伝票を張って、

それを順番どおりに並べていく。

毎年夏になると取引が盛んになる商品らしい。


「ちょっとひと段落したし、休憩しようか」


俺のほかに、アルバイトが数名、

そして女性の事務員が伝票処理と手伝いのため来る。


その女性が、俺に対してだけ頻繁に話しかけてくる。
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