金星
「潤一くんは彼女とはどう~?」


「……いないっすよ」


「うっそー! だって絶対モテるでしょ?」


「……モテないっすよ」


丁寧に巻かれた茶髪、会社の制服をミニ丈ではき、おまけに香水臭い。

俺は、適当に質問に答えつつ、外の喫煙コーナーで携帯をいじっていた。



新着メール、なし。


あいつ――大丈夫か?

それとも、仲直りでやっぱりラブラブってとこか?


「潤一くん来てからすっごい仕事進んだんだよ~!」


その時、

ブー、ブー。

手にしたままの携帯が勢いよく震えた。
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