金星
「お前何で連絡しないんだよ。心配かけすぎなんだよ、ばーか」
ざわざわしているはずの、駅の構内。
まわりの雑音は一切聞こえなかった。
「ちょ……潤一、どうしたの!?」
腕の中で、優奈がテンパっているようだったが、
「こうすればいいんだべ?」
「え?」
「こういう時は、ぎゅーっと抱きしめてやればいいんだろ?」
「はぁ!? 訳わかんないんだけど」
「うるせーよ、ちょっとは黙ってろ」
俺は構わず、ぎゅっと力を込めつつも、
優奈が苦しくならないよう、優しさを込めて抱きしめた。
すると、
「じゅんいち~ふぇえ~ん、ひっく」
と、優奈は泣き出していた。