金星
「あ、ありがと。でね、結局朋宏の親に連絡して、あたしの親も旅行から帰ってきたし一緒に話し合って、もう会わないってことにして、今日最後荷物だけ持ってきて合鍵ポストに入れて帰ってきて」


「そーかそーか」


「ちょっと聞いてる~?」


優奈が早口でかつ興奮しているため何を言ってるかがよく分からなかったが、

とりあえず朋宏ってやつと無事別れられたようだ。


「とりあえず次はちゃんと連絡しろよ、あと一人で無茶しないでちゃんと俺を呼べよ」


「……うん、ありがと」


新しい家が多い、住宅街を進み、

優奈の家の前まで着いた。


「じゃ、またな」


「あ、潤一」


「ん?」


帰ろうとしたら優奈に呼び止められた。


「夏休み終わる前にまた会えないかな? いろいろお礼したくて」


少し目線を下げながら、かすれた声で優奈は言った。
< 295 / 358 >

この作品をシェア

pagetop