金星

「ああ、バイト終わって夕方からなら、だいたい暇してるから」


「うん!」


そう言って、目を細めながら、にっこりと優奈は笑った。


ふーん、可愛く笑えるじゃん。


久々にこいつの笑顔を見た気がする。


そういえば、よく笑ってよく泣いてよく怒ってバカで、

こいつはそういうやつだったよな。


「次はそーやって笑っていられるような恋愛しろよ」

と俺が言うと、

「よけーなお世話ですぅ!」

と言って、優奈はほっぺたを膨らませた。


くるくる変わる優奈の表情に、思わず俺は笑ってしまった。
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