金星

蒸し暑く、雨が降る中での始業式。


夏休み明けの浮かれた空気の中、教室に入る。

潤一が来ていなきゃいいんだけど。


「おはよう~」


クラスメイトに軽く笑顔を振りまきながら、自分の席についた。


「……おい」


こういうときに限ってちゃんと朝からいる。


「久しぶりだね。この前は急にキャンセルしちゃってごめんね!」


あたしはその姿を見ないようにして話した。


「あー別にいいよ。それよりお前、また何かあったの? 心配だったんだけど」


胸がズキズキする。


「え、別に……何もないよ」

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