金星


「どれもこれも同じ服にしか見えねーし」

とかぶつくさ言いながらも、潤一はあたしの買い物に付き合ってくれた。


女の子とすれ違うと、みんなちらっと潤一を見てる気がする。


とれかけのパーマがワックスで整えられてて、

腕を7分くらいにまくったチェックのシャツをおしゃれに着こなしている。


お気に入りの店で、秋物のワンピを試着すろと、

ハデな店員さんが、お似合いですよー、と言った後に、

彼氏さんもそう思うでしょ? と潤一に話をふった。


すると、

「そーっすね。でももーちょっと痩せるといいかもですねー」

と適当に答えていた。むかっ。
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