金星
少し日が傾いてきて、駅につながるコンコースは
オレンジがかった光に包まれていた。
「あー疲れた。マジ女の買い物って果てしないよな」
潤一がぶつくさ言ってる中、
あたしたちは駅の構内に戻った。
「ごめんごめん、秋物いろいろ欲しかったんだもんー。お礼に夜ごはんおごるよ。この前焼肉ドタキャンしちゃったし」
「あー、あの嫉妬ブッチね。……っていってぇ~!」
そう潤一がいじわるっぽく言ったので、
後ろから無言で潤一の二の腕あたりをバシっと叩いた。
「もー思い出させないでよ!」
この前教室で潤一に言ったこと、
言われたことを思い出し真っ赤になるあたし。
やばい、今まで落ち着いていたのに、
急にドキドキして潤一の顔が見れなくなってしまった。