金星

そこから、15分くらいタケルと近況を話しあってから、

じゃあまた北海道にも遊びに行くわ、と締めようとしたが。


『やっぱ潤一は良いよな~。俺実はお前に憧れてたし』


「何言ってんだよ」


『潤一格好良いもん~。顔とか見た目もだけど、全部格好良い~』


「はは、何だよ。キモいって」


『ちゃんと幸せになってよ。俺っち北海道で密かに心配してたんだから』


「ああ、ありがと。俺はもう大丈夫だよ」


電話を切った後、バタンと自分のベッドに横になる。

机の上には、俺が3歳の頃の家族の写真が飾ってある。


今、親父はあんなんだけど、

俺もちゃんと愛されて生まれてきたんだな。


そう思いながらその日は眠りについた。

その次の日――今日。
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