金星

初めてつないだ優奈の右手は、意外と小さかった。


自分から女と手をつないだのなんて初めてだったな、とあの時思った。


自分の気持ちにはうすうす気づいてはいる。


「えー? おごるよ~?」


「いーよ、割り勘で」


駅ビルのカフェバーで、パスタを食べた後、

優奈と、地元方向に向かう電車に乗った。


夜8時を過ぎたころ。

大宮で一気に人が降りるため、まあまあ混む電車だが座ることができた。


右隣には優奈がいる。
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