金星

「お前ちょっと髪の毛切った?」


「……なにそれー、今さら気付いたの?」


そう言って、優奈はほほを膨らませる。

ゆるく巻いた髪の毛は少し明るくなってボリュームもすっきりしていた。


「あ? 気づいてたけど言わなかっただけだよ」


「あっそ」


ガタン、ガタン。

電車の音が心地よい。

駅に着くごとに、電車の中の人が少しずつ減っていく。


『ご乗車ありがとうございます。次は~』


優奈の地元の駅にもうすぐ到着する。
< 334 / 358 >

この作品をシェア

pagetop