金星
「お前ちょっと髪の毛切った?」
「……なにそれー、今さら気付いたの?」
そう言って、優奈はほほを膨らませる。
ゆるく巻いた髪の毛は少し明るくなってボリュームもすっきりしていた。
「あ? 気づいてたけど言わなかっただけだよ」
「あっそ」
ガタン、ガタン。
電車の音が心地よい。
駅に着くごとに、電車の中の人が少しずつ減っていく。
『ご乗車ありがとうございます。次は~』
優奈の地元の駅にもうすぐ到着する。