金星
「はいはい、しょーがねーなー」
電車が到着してからも、
俺は優奈の手を握ったまま歩き続けた。
前にもちらっと優奈の家に寄ったことがあるが、
ちょうど商店街の間から、住宅街に入る一車線の道路を進んだところにある。
駅からそこまで数組の若者とすれ違ったが、
もう21時ということもあって、あたりはひっそりとしていた。
「ごめんね、今日はいろいろ付き合わせちゃって。しかも送ってもらっちゃって」
優奈の家の前に着いた。
両親はまだ帰っていないらしく、家には明りがついていない。