金星

「まあまあ、パパ落ち着いて。はい、潤一くんも飲んでってね~」


ママはいつも通り。

紅茶の香りがするティーカップをテーブルに4つ、置いた。


「ありがとうございます」


「優奈のこと、本気に大切にしてくれるのか?」


そうクールに言った後、パパは紅茶を一口すすったが、

あちっ、と情けない叫びを発していた。


「何でパパ、格好つけてんのさ……」


あたしはそんな滑稽なパパの姿に嫌味を言った。


「お、お前は風呂でも沸かしてこい~」


「はー? なにそれー?」


なぜかその場から追い出されてしまった。
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