金星
「何かあたしたちって最初は正反対だったよね」
「ん?」
「潤一は人好きになったことなくて、あたしはすぐ彼氏作って振られてばっかりで」
「ああ、そうだったな」
きっと足りないところをこれからも、埋めあいながら、
あたしたちは上手くいくはずだと思った。
「本当は似てるんじゃね?」
「へ?」
「お前も、初めてなんじゃないの? マジで人好きになったの」
「あはは、何それ! 調子乗ってるー」
潤一と一緒にいたら、いつまでも笑っていられる気がする。
愛されたいから、寂しいから一緒にいるんじゃない。
ふと、あたしはあることに気がついた。
これまでの恋愛はもちろん本気だった。
でも、それは恋愛に対して本気だっただけで、
本気で人に恋をしたのは……
「……初めてかもしれない」
「あ? 何か言った?」
あたしはあたしのままで、潤一に恋してるんだ。
確かに、こんな気持ち初めてだ。
「うん、潤一、大好きだよ!」
☆おわり☆