金星
それからの日々は、幸せだった。


「ヨシヤ、帰ろー!」

「おー! 今行くわー」


放課後、隣のクラスにヨシヤを呼びに行くと、

少しざわめきが起こった。


ヨシヤと優奈は付き合い始めたらしい、

という噂はあっという間に広まっていった。


いつもの固い左手があたしの右手を包み込む。


あたしはヨシヤの笑顔が好きだ。

長い前髪からのぞくその笑顔が好き。


見た目のチャラさとは全然違くて、

くしゃっと子どものように笑うんだ。

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