金星
「あーあ、俺ちょっと優奈ちゃんねらってたんだよね~」
屋上で、タバコの煙を吐き出しながら、
タケルがそう呟いた。
「ぶへっ……、マジで?」
さすがの俺でも
飲んでたコーヒーを吹き出しそうになった。
「何て言うかさ、俺が幸せにしてやりたいって思っちゃうんだよね」
青空に向かって、タケルは再び煙を吐き出した。
「あーあ、プチ失恋ってやつ?」
軽くヘコんでいるようだ。
わからない、タケルの言っている意味が。