金星

駐車場の奥にある排水溝へ連れて行く。


「吐くならさっさと吐けよ」


絡みついたその腕を解き、

アズミをかがませたが、


「うーん、潤一くん……」


建物の光も街灯もあまり届かないこの場所で、

アズミは俺の首に腕を回した。


時々、車のライトが流れるように俺たちを照らしていく。


その光が何度か俺たちを包んでいくのと同時に、

アズミの唇が何度か俺の唇と重なった。



「んっ……」



そのうち、アズミが舌を絡ませてきたので、それに少し応えてから、



「はい、今日はここまで。家まで送ってやるよ」

と俺は言って、そこから離れた。



「ほぇ?」

トロンとした感じの目をしながらも、驚いているアズミ。
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