金星

「こんなのがヨシヤの女なん?」


「マジあいつ趣味悪くなったんじゃね?」


ぎゃははははー!


耳障りな笑い声がその後ろにいるギャル軍団から発せられた。



体育館裏の森が風に吹かれて、

がさがさとした音を出している。


「っ……!」


蹴られたお腹の痛みか、

あたしは上手く声が出せなかった。



「さっさと別れれば? このブス!」



あはははー! とそのウザい声が少し遠ざかっていく。



ヨシヤは女を全部切ったはずだから、

よくある昔の女の嫉妬だろう。


可愛そうな女たちだなぁ、

何てことを思いながら、あたしは立ち上がった。




……ヨシヤに会いたい。



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