金星
そっか、さっき突き飛ばされた時、

地面に尻もちついちゃったし。


「あ……ちょっと転んじゃってさ」

「ふーん」


少しだけ、喉の奥が熱くなる。


何であんな目に会わなきゃいけないの?



それっきり。

潤一は充電中の携帯をいじっていた。



ううん、大丈夫――。

あたしにはヨシヤがいるから。



あんな女たちなんか気にしないんだ。



楽しそうな声や、騒がしい音が響く教室の中、


あたしと潤一の席だけが、

別の空間のように思えた。

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