金星

でも、亜季に関しては――

しょうがないから一回会って話さなければならないのだろうか。



面倒くせぇな。



ふぅ~、大きなため息をつきながら、

屋上への扉に向かって俺は階段を上った。


最後の踊り場を通過する、と……


「うぉわっ!!」


思わぬところに人影を見つけたため、俺は驚いた。


日陰になっている扉の

すぐ手前でうずくまっている女子生徒――


「優奈!!」


「……え、潤一……?」


雨に打たれたのか、髪の毛は湿っていて、

ブレザーを脱いだ制服のシャツはところどころに泥の汚れが付いている。


< 84 / 358 >

この作品をシェア

pagetop