金星
でも、亜季に関しては――
しょうがないから一回会って話さなければならないのだろうか。
面倒くせぇな。
ふぅ~、大きなため息をつきながら、
屋上への扉に向かって俺は階段を上った。
最後の踊り場を通過する、と……
「うぉわっ!!」
思わぬところに人影を見つけたため、俺は驚いた。
日陰になっている扉の
すぐ手前でうずくまっている女子生徒――
「優奈!!」
「……え、潤一……?」
雨に打たれたのか、髪の毛は湿っていて、
ブレザーを脱いだ制服のシャツはところどころに泥の汚れが付いている。