金星
すれ違い by yuna
「優奈、ひざすりむいてるじゃん」
昼休み、ヨシヤのクラスに顔を出す。
いつもと変わらない、大好きな人がそこにいる。
「あ、ほんとだ……。
体育で転んじゃってさ~あははっ」
あのギャル軍団による嫌がらせはいまだに続いていた。
この膝の傷だって、それによるものだし。
気づいてほしい。
助けて、ヨシヤ……。
あたしはちょっと伸びた前髪の奥、
何かを願うように、その目を見つめた。
でも。
「優奈はドジそうだしな~」
そう言って、ヨシヤはいつも通り
あたしの髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。
何であたしはヨシヤに助けを求めようとしたのだろう。
変な心配かけたくない。
迷惑だって思われたくない。
ヨシヤと一緒にいれるんだったらこれくらい大丈夫だ。