金星
「あ、そうだ! ごめん、今日一緒帰れないわ」

「えー、そうなんだ……」

「急に先輩のイベントの打ち合わせ入っちゃってさ~」


目の前であたしを拝むように手を合わせて謝るヨシヤ。

最近、ヨシヤはクラブのイベントの準備で忙しいみたい。



「……一緒にいたいな」



思わず口から出てしまった言葉。


「え?」


――どくん。


「わりぃ、今日は無理だわぁ。その代わり今度パステルのプリン買ってくるから!」


廊下と教室の境目。

あたしたちの横をクラスメイトたちが行き交う。


「本当ー!? よろしくね」


あたしは頑張って笑顔を作った。


ヨシヤが自分の席へ戻っていく。



どうしよう。



一緒にいたいって言った瞬間。

ヨシヤが、ちょっと困った顔になった気がした。

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