金星

「せっかくヨシヤくんとラブラブなのに

そんな邪魔入ったらイヤでしょ~?」



黒髪ロングでメイクも薄め。

見た目は少し地味な感じだけど、よくいろんな人から悩み相談をされるような優しい子だ。



「も~、本当に加奈はいい子だよ~」


あたしはテーブル越しに、その艶やかな黒髪をくしゃくしゃとなでた。



ヨシヤがあたしにしてくれるような感じで。


「も~、マジであたし心配してんだから~! 昔っから優奈からは目離せないよ~」


そう言ってオロオロしている加奈の奥には、

同じ制服のお客さんが何人かいた。



駅前にあるこのサイゼには、

同じ高校の電車通学の学生が多く集まってくる。


――え!?


「わちょっ! 加奈しゃがんでっ」

「きゃっ、どどどーしたの?」
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