金星
「優奈、上手く言えないけど、またいつでも話聞くからね」


加奈は、優しい笑顔でそう言ってあたしに笑顔をくれる。


「そういえば加奈は彼氏できたー?」


いつもお世話になりっぱなしだし、

加奈が恋愛したら精一杯応援してあげたい。


「うーん、できないなぁ~。あ、でも気になる人できたかも!」

「マジマジ!? 誰? あたしも知ってる人?」

「まー、うーん、えーと」

「誰にも言わないから!! おーしーえーてー」


加奈に勢いよく詰め寄るあたし。

下りのエレベーターが若干揺れた。


「……優奈のクラスの」


あぇ!? ま、まさか……

「ヘアバンドの……って言ったらわかるでしょ?」


「あータケルかー! なるほど!! あいついい奴だしねー」


ふぅ、良かった。

あの某ヤリ○ンじゃなくて。

< 92 / 358 >

この作品をシェア

pagetop