金星

部活に行く人、帰ろうとする人、話している人、

廊下が話声と足音で響いている。


ヨシヤとゆっくり話せるの久しぶりな気がする。

そう思うと、

隣のクラスに向かうだけなのに、自然と小走りになる。


その時、


「優奈ちゃ~ん、ちょっと来てくれる?」

と、わざとらしい高音の女の声に呼び止められた。


例のギャル軍団の一人だ。


「え、いや……」

「ヨシヤがトラブっちゃってるから! お願い!」


巻かれた長い髪を振って、

両手を合わせて何やら必死の様子。


「お願い! 早くしないとヤバいから!」



びくん、と体が震えた。


ヨシヤに、何かあったんだ!

不良っぽい子と付き合いあるみたいだし。
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