金星

校舎からグラウンドを抜けて、テニスコートの奥へ。


向かった先は、体育倉庫の裏。


昔使ってただろう古いサッカーゴールやハードルが倉庫の壁に立てかけられている。


「はぁ、はぁ、ヨシヤは……?」


すぐ後ろに学校の裏山があるため、

木々の間から日が差し込むくらいで暗く、人気も全くない。


「ナナ、連れてきたよー」


あたしを連れてきたギャルの子が体育倉庫側に向かって言った。

部活中の声がかすかに耳に届いてくる。


「もーマジおそいしー。待たせてんじゃねーっつーの」


明るい色のストレートヘアをなびかせ、

ギャル軍団のナナって子が待っていた。


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