金星

「何? ヨシヤは?」

状況を半分つかみかけたあたし。

「ねーえ、お前さ~そろそろヨシヤから離れてくれない?」

「は? 何で?」


ああ、だまされたんだ。

呼び出された意味が分かった。


「口答えするんじゃねーよ!

もともと、おめーが体使って奪ったんだべ?」


ナナって子の分厚いつけまつげの奥の目は、

怒りに震えているように見えた。


「ヨシヤ最近忙しいじゃん。

会いたい会いたいって彼女がしつこいって困ってるよー。

おめーうざがられてんじゃん!」


もう一人、ギャル軍団の子が応戦してきた。


ギャハハハハ!

汚い笑い声に包まれる。
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