金星

「とりあえず、そろそろ男子呼ぼうか」

「こいつ、マワしちゃっても~……いいんじゃね?」


「っ……!」

横からもう一発蹴りをくらった時、


「ストーーーーーーーップ!! そこの君たち、イジメはやめなさーーーーい!!」


聞き覚えのある声が、ボリュームMAXで聞こえてきた。


体育倉庫の方角を見ると、


「ってあれ? 優奈ちゃん!?」


倉庫の奥に、タバコ仲間らしい軍団がいて、

タバコを片手にしたタケルが、こっちに向かってきた。


「へー、チミたちヨシヤっちの友達だよねー? なーんで優奈ちゃんいじめてるのかな~?」


「あははっ、何いってるの? いじめてないし~」


タケルの挑発的な言い方に対し、

ギャルたちは笑いながら軽い話し方に戻っていた。


「……ふーん、まあいいけど。優奈ちゃん大丈夫?」


タケルの右手にひっぱられて、

あたしは立ち上がることができた。


「うん……ありがと」


まだ上手く言葉が出てこない。
< 99 / 358 >

この作品をシェア

pagetop