Bitter or Sweet?
先生も、私が隣に座っても、大して何もしゃべらないし。
年下の私が気を使って何かを喋るべきなのだろうけど、
緊張しているせいで、適した話題を見つける事が出来ずにいた。
非常に気まずく、居心地の悪い雰囲気が漂う。
私は上っ面だけ愛想笑いを浮かべながら、
隣に座る先生のグラスが空になると、ビールを注ぐ、
ということだけをとりあえず繰り返しながら、
周囲の人たちの話に適当に話をあわせるようにうんうんとうなずくだけ。
先生も隣で話を聞いていたのだろうか。
黙ったまま、ビールを飲んでいるだけ。
だけど、そんな時間も長くは続かない。
なんとか間を持たせようと、先生にメニューを渡す。
「飲み物、どうしますか?」
「・・・君は?」
「私は、カルーアミルク」
「じゃあ僕はウィスキー」
先生はメニューを閉じると同時に、そばを通りかかった店員に注文をする。
注文が終われば、またもや流れる妙な雰囲気。
飲み物が持ってこられても、
それをただ飲んでいるだけではどうにも仕様がない状況だった。
一気にカルーアミルクを飲み干すと、
再び先生と私の間でどうしようもない居心地の悪い時間が流れた。