Bitter or Sweet?
「え、あ。いや、これ、


親友がプレゼントで買ってくれたピアスで、


流行っているかはちょっと分からないです」


はっと我に返るが、どう反応して良いか分からない。


しどろもどろになりながらも、何とか先生の問いに答える。


「そう」


先生は自分の手元に視線を落として、


ロックで割られたウィスキーのグラスを口にしていた。


思わず私も、自分の手元の近くにあったグラスに手を伸ばして、


その中の飲み物を飲む。


「・・・っごほっ!」


喉に激しい辛さが襲う。


「あぁ。それ、僕のだよ」


すっと先生の細い手が伸びて、私に水を渡してきた。


声の出ない私は、涙目になりながら、


その水を一気に飲み干した。


「甘いカクテルとかが好きなんだねぇ」


そう苦笑する先生の横顔を見た瞬間、心臓がきゅーっとなった。


アルコールのせいか、顔が凄く熱い。


鼻の頭も汗をかいていた。


ドキドキする心臓の音がうるさくて、


それをごまかすかのように、店員が持ってきたカルーアミルクを一気に飲み干す。


呑んだ瞬間、ふらりとした。


そこから先、私はほとんど打ち上げの記憶がない。


次の記憶は、家にたどり着いた時だ。


私は相当酔っていたと、


後からそう、傍に座っていた他のゼミ生から聞いた。


いつもはおとなしい私がいろいろな人に絡んだ挙句、


先生にも色々何か言っていたらしい。


最終的に先生が家まで送ってくれたそうだ。


・・・凄く恥ずかしい。


でも。


それでも。



先生が私を送ってくれたということを聞いて、私はすごく嬉しかった。


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