Bitter or Sweet?
夢の中
居酒屋で呑まれて
「お飲みもの、何かお代わりをお持ちしましょうか?」
居酒屋店員の愛想の良さは異常だと私は常々思っている。
「私はカルーアミルク」
「ミルク系、好きだね」
目の前の私の親友は、ようやくビールのページから次のページをめくる。
「私、カシスウーロン」
「かしこまりました」
店員が去っていくと、彼女は話の続きを始めた。
「ねーえー」
あたりが騒がしい居酒屋で、ひときわ大きな声で喋るのは、
目の前で酔っ払っている、親友の美衣だった。
「そういうことなんだけどさぁ、どっちが良いと思う?」
恋多き親友は、どうやら最近、2人の男性に告白されたらしい。
どこで知り合った男性なのかは、周囲の喧噪でかき消されてしまったが、
一人はイケメンだがあまり性格は良くないらしく、
もう一人はフツメンだが性格は良いらしい。
美衣の恋愛トーク、特にこういう話は日常茶飯事だったから、
何故美衣が特定のだれかと付き合っていないのか、私には不思議だった。
「どっちって言われても。・・・美衣はどっちが好きなの?」
「うーん。・・・わからない」
「わからないって。だって、付き合うなら好きな人でしょう?」
「お子ちゃまだなぁ、怜は」
美衣は私の顔の前で人差し指を立てて、それを左右に揺らす。