Bitter or Sweet?


それは、ちょうど3週間前ぐらいの出来事。


ゼミ後期の打ち上げでの飲み会のことだった。


偶然、私は先生の席の隣に座ることになった。


ちょっとした用事で遅れたら、先生の隣の席しか空いてなかったのだ。


正直、私はその時、貧乏くじを引いたと思った。


なぜなら、私はゼミ以外で、先生と個人的な話をしたことがなかったから。


先生は常に冷静で、どちらかと言えば愛想がない人だった。


ゼミでも講義でも、内容はいつも淡々としているし、


生徒のプレゼンに対しても容赦のない批評を浴びせる。


そのため、どちらかといえば、厳しいと言われている人である。


ただ、准教授になりたてで年が若く、


ルックスも、


眼鏡をかけて、意外と高い鼻と、通った鼻筋がよくわかる横顔は確かに素敵で、


また長身で細身であることから、一部の女子学生からは人気が高かった。


でも、容姿なんて、


一般的な「あぁ、すてきだな」ぐらいの感想しか持っていなかったし、


むしろいつもの先生の態度から、


隣に座った私は緊張して何を話して良いのかわからないぐらいにパニックになっていた。


< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop