当たり前の感情変化

彼は特に驚かない。よくあることやから。でもいつも少し満足そうな顔になる。

この顔がたまらなく好きや。

「やりたいこととか、やるべきこととか、まだ果てしなくある。例えば、お前を幸せにすることはやりたいこと。例えば、お前に辛い思いをさせへんことはやるべきこと。」

「うん。」

もうとっくに目が暗さに慣れて、彼の表情は安易にわかる。

今もいつもみたいに微笑んでるのかと思えば真剣な表情で、不覚にも私の顔が強張った。

「はは、たまには真剣になってみたり。」

「らしくないやん。」

「失礼な。」

やっぱり真剣な表情や言葉は似合わない。あまり、好きじゃないかも。


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