当たり前の感情変化

「そうじゃなかったら、この海に放り込むところや。」

ハッハッハ、と彼はいつもより大きく笑った。

「照れるかと思ったのに。」

「ふん。」

私はそんな単純じゃない。私の中の海は、不規則な波がいつも寄せては返している。

「んー。俺の何処が好きか正直に答えて。」

「私が笑う時、笑ってる。私が悲しい時、悲しんでる。これって当たり前じゃない。」

「お前が空で、俺が海かな。」

「うん。」

だいたい20秒ぐらいの会話。普通なら長い沈黙がお供しそうなのに。

あっさり言える私達は本当に空と海みたいやね。



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