エール
「ねえ豊…」
私はシャーペンを持つ手を止めた。
「ん?なあに?」
隣に座った豊が首を傾げて私を見る。
「私受験生で勉強ばかりだから、豊つまらないんじゃない?
豊は優しいし頼りになるから、多分学校で人気でしょ?
私みたいな勉強に縛られたお子様よりも、よっぽど美人で…勉強を気にしないで沢山デート出来る人がいっぱい居るんじゃないかな…」
私の最大の不安だった。
豊は高校2年生。
この性格や容姿ならモテないはずがない。
本当なら、勉強する私の隣に居るよりも、同じ高校生の人と遊ぶ方が楽しいはずだ。
豊はそんな私にフッとため息を付くと、横から抱きしめてくれた。
「馬鹿だな~音和は…俺は音和と居る時が一番幸せなんだよ。
音和だからこんな安らかで愛しい気持ちが持てるんだよ」