エール
涙が出そう…
でも駄目だめ……優也は豊じゃない。
出会って間もない人に涙なんて見せられない。
「音和なら大丈夫。俺がついてる」
優也のその言葉に、涙が次々と流れた。
今…今……何て?
―音和なら大丈夫。俺がついてる―
その言葉は……豊が私を安心させる為に言ってくれてた言葉……
何で優也がその言葉を言うかなんて考えられなかった。
豊の優しい笑顔が頭から離れなかった。
豊との過ごして来た思い出が頭を駆け巡った。
「音和………」
優也は私の両手をギュッと握った。
つられて私は顔を上げる。
優也は手を離して、私の首に触れたかと思うと、
ワイシャツで隠れたネックレスを出した。
豊がくれたネックレス。
くれた日から、毎日付けてるそれ。